日常1 《黒猫亭の看板娘》

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ーーー・・・。 「・・・申し訳ありません。全然、分かりません。」 「えー。だからー。解体業者さんが家を壊してたんですよ!その跡地は公園になる予定で!そこに猫ちゃんが住みついちゃったんです!」 「あ、いや、何となくは分かるのですが・・・かなりの疑問が・・・」 「あーっ!もうこんな時間!私、一度受け付けに戻らなきゃ!クロさんは此処で待っててください!」 「ここで!?この廊下のど真ん中でですか!?」 「じゃ!また後で!!」 「あ、いや、ちょっと待っ・・・。」 私の静止など無かったのかのように受け付けに向かって猛ダッシュする尾野さん(仮名)。 ・・・スルースキル極め過ぎでしょう。 ・・・そして、分かりました。 下界に来てまた1つ学ぶ事が出来ました。 あの手のタイプは詳しく聞けば聞こうとする程に話がややこしくなるのです。 頭で整理せずに言葉を発するのですからバラバラのパズルのピースをぶん投げてくるのと同じです。 しかも途中で思い出したかのように新しいピースを取り出しフルスイングしてきます。 いくら私が有能なキャッチャーでも、ピースを鷲掴みにして投げられたら全てをキャッチするのは困難です。 と、言うか面倒です。 ・・・尾野さん(仮名)に聞くのは止めましょう。 さて・・・私は・・・ 私は倉庫のドアノブに手を掛ける。 どうやら鍵は掛かっていないようです。 えぇ、そうです。 私は興味を抱いたのです。 何故、そんなに暴れるのか? 自分の怪我を省みずに?普通の動物であれば己の身を案ずるはずでしょう? 何故、特定の人間にのみ襲いかかるのか? 私ならば邪魔をする全ての敵を排除します。 ここに閉じ込められている子は、何か意思があるように感じるのです。
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