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ーーー・・・。
「じゃあ、その猫ちゃん。よろしくお願いしますね!!」
「はい。今日もありがとうございました。」
「いえ。あ、今度はお店に行くんでサービスよろしくお願いします。」
「はい。勿論です。」
腕の中で彼女は実に大人しく振る舞ってくれました。
おかげで話しはスムーズに進みました。
保護センターの人々もかなり手を焼いたのでしょう。私の腕の中で静かにする彼女を見て、むしろ是非にと言わんばかりに送り出してくれました。
「貴女・・・かなりのじゃじゃ馬娘さんだったようですね。」
《みぁー。》
施設を後にし、外に出る。
彼女はかなりソワソワと辺りを見回しています。
私は少し施設から離れた場所。
そうですね、歩いて数分程度の場所にある小さなタバコ屋さんの前に彼女を降ろしました。
彼女は軽やかに私の腕から飛び出すと私の方を振り返りました。
まるで【行っていいの?】と私に確認を求めているようにです。
「はい。ですが、勘違いしないでください。貴女のするべき事が終わり次第、私は貴女を迎えに行きます。」
《みぁー。》
「そうです。それまでは私は貴女を見守りましょう。」
《みぁ。みぁー。》
「では。道中、お気をつけて。またお会いしましょう。私はその時、改めて貴女に伝えなければならない事がありますから。」
彼女は私の元へ近付き、足にゆっくりと1回・・・お礼でも伝えるように頬を擦り付けた。
そして勢い良く走り出すと、すぐにその姿は近くの民家の垣根に消えて行きました。
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