prologue

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確かあれは、3階に着いた時だったかな。 俺達は既に心底ビビってた。 雰囲気もそうだが、壊れた内臓の模型や血の染みみたいな跡、壁の染みでさえ顔に見えちまう。 ・・・【カラン。】 突然、鳴ったんだ。 それは空き缶を落としたような音だったよ。 俺達は勿論、パニックさ。 4人共、叫びながら逃げ出したよ。 情けないよな? ヒーローになりたくて行ったのにビビって逃げ出してるんだからよ。 さらに情けない事に、廃病院を出てから気付いたんだ。 女の子がいないって事にさ。 俺は自分が逃げるのに必死で女の子を気遣ってやれなかった。 ・・・最悪だ。 更に最悪な事に仲間の1人が言ったんだ。 床が抜けたような音と女の子の悲鳴が聞こえたって。 本当に情けねぇよな。 床が抜けた音、女の子の悲鳴、そんなの俺には聞こえなかった。 つまりビビっちまって、それどころじゃなかったって訳だ。 ・・・本当ならすぐに女の子を助けに行くべきだった。 でも俺達はしなかった・・・いや、出来なかった。 恐かったんだ。 廃病院も恐かったが、女の子に恨まれるのが恐かった。 もし、女の子が怪我をしていたら? もし、女の子が俺達を許してくれなかったら? 俺達は俺達だけで解決する事から逃げ出した。 全力で走って交番に向かったんだ。 警察なら・・・大人ならきっと助けてくれる! そう思ったんだ。 子供の頃ってのはさ、警察はヒーローだったんだよ。 弱い奴とかを絶対に見捨てないヒーロー。 ・・・ははっ。 甘いよな。 警察だって人間だ。 そんで、人間には・・・いろんな奴がいるんだよ。
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