日常3 《ヤンキーと少女とお弁当》

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店内に2人が入ると、人、人、たまに猫。 客達はニコニコと笑みを浮かべ、食事を頬張る。 そして・・・その最奥に男はいた。 青白い・・・いや、土気色の肌。 頬は痩せこけていて、如何にも栄養不足なような・・・まるで動く死人。 髪をオールバックに纏め、細身で長い。 しかし、その見た目とは裏腹に動きは機敏でかつ、活力に溢れている。 その無駄のない動きは【な、なんだ?こいつ?機械じゃねぇよな?】と疑う程だ。 「あっ!トトちゃん!いらっしゃい!」 トトを呼ぶ声に振り向くと、そこには元気なウェイトレス。長い髪をトップでお団子にした彼女は両手に料理を持ちながら明るく挨拶をした。 「あっ!志乃さん!来ちゃいましたぁ~。ちょっと早かったですよねぃ?手伝いますぅ?」 「ん?んー・・・大丈夫・・・。」 「トトさん。」 「うおっ!?」 突如として響く声。 そして、いつの間にか二階堂の横に立つクロ。 そのあまりの神出鬼没っぷりに、二階堂は思わず声を上げる。 「志乃さんはお昼休憩も取らずに働いています。雇用主として、今の現状は見過ごせません。ですので、1時間程助けてくれませんか?お礼にお給金+まかないを出します。」 「ク、クロさん!私は大丈夫・・・。」 「黙りなさい。大丈夫か否かは私が決めます。はい。決めました。ダメです。ですのでトトさん、お願いします。そして君は・・・。」 「お、押忍!自分はぁぁぁぁぁ!二階堂です!今日からぁぁぁぁぁ!お世話にならせていただきます!」 二階堂は応援団のように腹から声を出す。 その声の大きさは二階堂なりの決意の表れなのだろう。 「元気があって素敵ですね。ではまず、二階堂君は私が指示するテーブルに料理を運んでください。配膳係ですね。トトさんはレジ打ちと片付けを。」 「・・・ん~・・・。何かクロさんに言われると素直に手伝うのに抵抗感がありますねぃ。でも仕方ないですねぃ。志乃さんの為ですからねぃ。」 「押忍!よろしくお願いします!」
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