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「二階堂君。この料理を窓際、右から3番目のテーブルに。」
「お、押忍!」
「二階堂君、この料理はカウンター。右から2番目に。」
「押忍!」
「二階堂君。お客様が帰ったらお皿を下げてください。台拭きでテーブルを拭くのを忘れずに。」
「お、押忍。」
「あぁ、二階堂君。このドリンクはカウンター右端へ。これは窓側左から2番目の席へ。これは中央の丸テーブルへ。」
「お、押忍っ!」
嵐のような忙しさとは正にこの事。クロは精密機械のように矢継ぎ早に二階堂に指示を出す。
その指示は実に効率が良く、お客を無駄に待たせるという状況を一切作らない。
数口あるコンロも全てが埋まり、次から次へと料理が作られ運ばれていく。
二階堂はそんな暴力的な忙しさにも、持ち前の体力と根性で必死についていく。
逆にトトは手伝いなれているのか「はぃ~。おつりですよぅ。」と間延びした口調とは裏腹にさっさと会計を捌いていた。
・・・ぐっおぉぉぉ!
身体が暑い!指がつる!
何でこんなに忙しいのにクロさん・・・いや、師匠は顔色一つ変えねえんだ!?
二階堂は額に汗を流しながらもクロを観察し、尊敬した。
・・・ト、トトは?
チラリとレジに視線を移す。
するとにこやかに接客をしながらレジカウンターの引き出しに隠したチョコケーキをコソコソと口に頬張るトトの姿。
トトは二階堂の視線に気付くとニヤニヤと笑みを浮かべた。そして・・・そのいやらしい笑みが物語る。
・・・おやおやぁ~。
もう疲れたんですかぁ~。
私なんてぇ~余裕過ぎてチョコケーキ食べてますよぅ?
情けないですねぃ~。そんな根性なしの甘ちゃんは今日からコッペパン改め・・・ジャムパン野郎ですよぅ・・・。と。
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