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「・・・では始めましょうか?」
「・・・は?な、何を・・・っスか?」
クロは不思議そうに二階堂を見下ろすと「決まっているではないですか。」と呟く。
「二階堂君。君は私に料理を教わりに来たのでしょう?ゲテモノでもなく、美味しい料理を。」
「あのー。すいませぇん?ゲテモノってぇ~私の考案したトトちゃんスペシャルのぉ~・・・。」
「ゲテモノの親玉は黙っていなさい。さぁ、まずはエプロンをしなさい。」
「お、押忍!」
二階堂はクロに手渡されたエプロンをイソイソと着ける。
そしてクロと共にキッチンに行くと、ソワソワとクロの出方を伺った。
・・・こんだけ繁盛してる店のオーナーだ。きっと修行も鬼のように厳しいに違いねぇ!
【ゴクリ】と二階堂は唾を飲み込むと、神妙な面持ちでクロを見つめる。
しかし・・・クロから出た言葉は意外な言葉だった。
「はい。では、まず手を洗いましょう。特に夏場は食物が痛みやすい。雑菌を防ぐ為にも手は清潔に。」
「お、押忍。」
「さて、包丁の使い方ですが・・・。まぁ、適当に。切れれば良いです。」
「・・・は?」
「今日のメニューはチャーハンにしましょう。丁度、冷やご飯がありますし。」
「お?押忍。」
・・・これには二階堂も肩透かしをくらった。
何故なら、テレビなどで見る料理人の弟子入りとは、それはとてつもなく厳しい。だからこそ、自分は覚悟をして来たのだ。
しかし実際は・・・。
「良いですか?チャーハンはパラパラ・・・と言うイメージですが、それで決めつけるのは・・・。」
・・・まるで緩い。
さながら昼過ぎの料理教室のような和やかな雰囲気。
しかもメニューはチャーハンである。
何とかの何とか風・・・でも、何とかを添えて・・・でもなく、そこらで食べる事の出来るチャーハンである。
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