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「てめぇ!聞いてんのか!?あぁ!あいつは何処だ!!」
「た、竜也・・やめ・・・。」
「あの女からやっちまうぞ!?あぁ!?」
「竜也!!」
「・・・五月蝿いですね。」
・・・【ゴキンッ!】
「あああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁアアアアアアアァァァァァァ゛!!」
一瞬だった。
クロは一瞬で竜也の後ろに回り込む。
それは本当に素早く、目で追うのがやっと。
目で追えても、とても身体は反応出来ないであろう速度だった。
後ろに回り込んだクロは竜也の右腕を掴む。
そしてそれを枝を折るかのように簡単に・・・
「う、腕がぁぁぁ!いてぇぇぇ゛!!腕がぁぁぁ゛!」
・・・へし折った。
山岸は絶句した。
その一連の動作に。
そして何より、クロの表情に。
無表情だった。
それは命令された機械が何の感情をも待たずに淡々と作業を進める・・・そんな印象だったのだ。
「私はね。怒っているんですよ。」
クロはニコリと笑ったまま、今度は竜也の左腕を掴む。
「ひ、ひっ!!や、やめ・・・。」
・・・【ゴキンッ!!】
「あああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁアアアアアアアァァァァァァ゛!!」
部屋に竜也の悲鳴が木霊する。
その姿に、声に、山岸は心底怯えていた。
「私は風景が好きなんですよ。」
「腕ぇぇぇ!俺のぉぉぉ!俺の腕がぁぁぁ!」
「零さんは私の風景には必要不可欠です。彼女はとても単純で馬鹿馬鹿しい程に真っ直ぐで素敵な彩りです。」
クロは竜也の左腕を離すと、今度は左足を掴む。
「ひっ!?ひぃぃぃぃっ!?」
「私はね・・・この風景を護る為なら・・・全てを差し出し、全てを敵にまわします。世界も、神も相手にします。非情にも非道にもなります。」
「お、お願いだ!止めてくれぇぇぇ!」
「・・・口ぶりからすると、騙したのは友里亜さんだけではないのでしょう?何人の女性を騙したのですか?何人の人々を傷付けたのですか?」
「すいません!すいません!すいません!すいません!すいません!すいません!すいません!すいません!」
「・・・そう言った人々を・・・何人、足蹴にしてきたのですか?」
・・・【ゴキンッ!】
「アアアアアアアアアアアアアアァァァァァァあああああああああああああああああああああ゛゛゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!」
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