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一頻り叫ぶと、泡を吹きながら竜也は失神した。
壮絶な痛みに脳が意識を切る事を選んだのだ。
クロはそれを無表情に見つめると「・・・あと1本あったのですが・・・許してさしあげましょう。」と竜也から視線を外した。
そして次にその目が捉えたのは・・・山岸。
山岸は「ひぃぃぃぃっ!」と叫び声を上げると逃げ出そうと後ろを振り返った。
しかし、そこにあるのは壁。
山岸は知らなかった。
知らない内に壁際まで後退りしていた事に。
クロはゆっくりと山岸の方へ歩く。
その一歩、一歩が山岸にとってはとてもゆっくりに、とても重く感じた。
山岸の心は恐怖に支配されていた。
助かりたい!助かりたい!助かりたい!助かりたい!助かりたい!助かりたい!助かりたい!助かりたい!助かりたい!助かりたい!助かりたい!助かりたい!
次の瞬間、山岸は土下座をして命乞いを始めた。
しかし、その言葉は・・・クロには届かない。
「・・・安心なさい。貴方は主犯ではないようなので2本にして差し上げます。」
「や、やめて!やめて!やめて!やめてーっ!」
「・・・駄目です。貴方は零さんを殴りましたね?弱い女性を護る為に立ちはだかった・・・より弱い零さんを殴りましたね?私の・・・私の大切な者を理不尽に傷付けましたね?」
「ご、ごめ・・・」
「起きたら彼に伝えなさい。私はいつも貴方達を見ている。今度、零さんに、太一君に、友里亜さん達に近寄ってごらんなさい。」
「ひっ!?ひっ!?」
「・・・壊しますよ?」
・・・【ゴキンッ!!】
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