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「わははは……は?ラリィ!!お父さんの写真に向かって"おっさん"はないだろ!!!せめて"お兄さん"だろ!!!!俺はそこまで老けてない!!!!!」
ゼェゼェゼェ……
お父さんは怒鳴ったせいか息切れをしていた。この程度で息切れとは……余計におっさ……何でもないよ?と声に出して無いのに謝った。
……………。
「取り敢えずは偶然と言うわけか。成る程な……、で杖は見つかったのか?」
お父さんはようやく喋れるようになったらしい。
……って。ヤベッ!!
「あっ!!写真に夢中で忘れてた」
ラリィは朝起きたら大至急杖を探さなくてはと焦り混じりに心に言った。
「俺のドジが移ったな!!さすが我が息子だ!!」
お父さんドジだったんだ……。
お父さんは笑っていたがもし、杖がクローゼットに無く学校に持って行けなかったら『あの先生』に殺される……。間違いなく御臨終だ。
ラリィはクローゼットに杖がある事を祈った。
「じゃあこの杖やるよ。俺の宝物"零魔の杖"(レイマノツエ)だ」
ブウォン
もう消えかけているお父さんの手にいきなり氷色みたいな色をして先端に直径5cmぐらいの紅い魔玉が付いたカッコいい杖が現れた。
「このテレパシーゾーンでは現実には既に存在しない人から思いを伝える事が出来て、渡せなかった物なども渡す事が出来る。まあ魔族の魔力が有ればこんな事どうってことないけどな」
お父さんはそっとラリィの手にそのカッコいい杖を渡した。
所々鋭利なため慎重に持った。
「じゃ、またいつ会えるか分からないが……頑張れよ!!我が息子ラリィよ」
「明日は会えないの?」
ラリィは不安そうに聞いた。
「明日会えるかは分からない。お前が俺に強く何か感情を抱かない限りはな、俺からは会えない。」
そういう事か。成る程……。
「分かった!!色々とありがとう、お父さん」ラリィは深々と長い杖を慎重に抱きながらお辞儀をした。でもその時に杖の鋭利な部分が右足の太ももに直撃した。
ふぎゃぁ!?
「ん?どうかしたかラリィ?」
ラリィは痛みに耐え、何とか笑みを作った。
「何でもないよ!!大丈夫」
「お、おう。そうか……じゃあ学校でも頑張れよ?魔法は魔力を抑えて程々にな」
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