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薄暗い照明の下で、その部屋の内装はただ赤かった。
「死ねやぁっ!」
こちらに拳銃を向けた男の手首をナイフの刃で殴りつけ、返す刃をその喉仏に突き入れ、引き抜く。
返り血が頬をかすめる。
伝う血は温かい。
壁に掛けられた、人の身長ほどの鏡、その中の自分と目が合う。
黒いコートにフードを目深に被り、暗くて顔は見えない。
「助けてくれっ、金ならいくらでも」
ソファーに腰掛けたままの標的の頭にナイフを、振り下ろす。
牛を屠殺する為の刃は重く、容易に頭蓋骨を砕き、額を二つに割った。
標的の隣に座る女が卒倒する。
今回は目撃者を消すようには命令されてない。
この店内に入ってから殺した死体を跨いで、その数を数える。
報告する必要があったから、数えた。
店の入口に立つ、命令者に成果を報告するとバンに乗り込む。
違う命令者の運転されたバンの中で、窓から夜空を見上げた。
曇り空の為か、月が見えなかった。
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