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焦りを覚えながら、他に出口はなかったかと炎のない場所を探して進む。
そこに1つの人影が煙から出てきた。
「…なーんだ。お姉さん、1人だけか」
「へっ?」
もう誰もいないと思っていたが、つい先程聞いた気がする声に振り向いた。
「あっれ、さっきぶつかった人じゃん。悪かったねー」
彼女はズボンのポケットに両手を入れて、この状況に合わない笑みを見せた。
「ね、ねぇ…。逃げなきゃ…」
咳き込む回数が増えた華乃は、ここから早く逃げたい一心だった。
けれど彼女は、逃げるどころかそんな華乃を見てただただ笑っているだけ。
「な…んで笑って、るのっ…?」
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