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学校へ行く道のりも建物も、いつもとは左右違うけれど、華乃は気にもとめていなかった。 というより、本当に気付いていないと言った方が正しいだろう。 学校に着く頃には1時間目の半分以上を過ぎていて、邪魔をしないようにと教室のドアをゆっくり開ける。 だがその親切と言えるのかわからない行為も儚く、ガラガラと耳障りな音を立ててドアは開いた。 「お、おはようございまぁーす…」 諦めて挨拶をして中へと入るが、誰もこちらを見ようとしない。 授業中だからかもしれないが、先生さえもさっきからずっと英文を喋っているだけで、ちらりと見る気配もない。
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