10人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふふ、おねーさん、気付いてないみたいだねぇ?私は逃げる必要ないからさ」
「どうして…?」
彼女は一瞬帽子のつばで目を隠したかと思うと、とすぐにクスリと笑って答えた。
「この火事、私がやったんだもん。逃げても逃げなくても、私の勝手じゃん?」
彼女の言葉に、目を見開く華乃。
逃げなければいけない状況だが、そんなことよりも彼女の言葉に意識が向いてしまった。
「なんでっ…!?」
「…お姉さんさぁ、今から死ぬってのに、そんなこと聞いてどーすんの?」
見下したように嘲笑う彼女に、華乃は息苦しさの中ふと感じた。
どこか悲しげな瞳の色をしている、と。
最初のコメントを投稿しよう!