10人が本棚に入れています
本棚に追加
「オイ華乃っ!」
銀の声だろうか、ドアの向こうから荒々しい声とドアを叩く音が聞こえてくる。
「……て。やめて…っ」
そんな彼の声に震えて、消え入りそうな程の声で言葉を吐き出す。
もう聞きたくないと、掌を押しあてて耳を塞いだ。
「…そこにいんだろ。もう逃げるなよ」
華乃に聞こえたかはわからないが、銀のその一言を最後に辺りは静まり返った。
けれどすぐに、彼女が想像もしていなかったことが起きた。
カチャリ
「…え?」
塞いだままの手を通り越して聞こえてきた一つの音。
最初のコメントを投稿しよう!