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沙恵は現在の状況に対し、至って冷静でゾンビにも詳しい直樹に疑問を抱いた。
『失礼ですけど、あなた何者ですか?』
「市内の福祉施設でお年寄りのお世話をしてる介護福祉士です。」
直樹は普通に答えた。
『……外の…その…ゾンビってのにも詳しいみたいですけど…』
沙恵はオドオドしながら言う。
「過去に起こった3333って言う事件知ってるでしょ?あの事件についての文献を読んだことがあるんだ。今の状況はその時と全く一緒みたいだね。ただ今回は全国規模って話しですよ。」
そう言って直樹はテーブルのコーヒーを飲んだ。
直樹は“文献”を読んだと言い、自分が3333の数少ない生存者だと言う事は伏せた。
過去に起きた3333を知らない人間は確かに誰もおらず、当然沙恵も知っていた。
『なんだかさっきと比べてゾンビ…って言うのもノロノロ歩いてる気がするんですけど…』
沙恵は言った。
「多分君がヤツらに襲われた時はまだ夜か明け方だったろ?ヤツらは夜になると目が赤く輝き、日中よりも凶暴性が増す上に走り出す。だから今は外へ出ても案外逃げれるんですよ。」
直樹の言葉に沙恵は耳を疑った。
『外へ出るんですか!?』
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