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直樹はそう言って急に立ち上がり、身支度を整え始めた。
過去の経験から使えそうな道具を一式リュックに詰め、鉄バットを手に持った。
『あの、どうするんですか?』
沙恵は直樹に言う。
「さっきラジオで全国に軍を送ったって話しがあった。俺はそれに賭けるよ。」
直樹は沙恵の目を真っ直ぐに見て言った。
沙恵は動けずにいる。
無理もない。
沙恵はこの様なバイオハザードの経験は無く、この世のものとは思えない恐ろしい体験をしたばかりだ。
それに何故直樹が本当か定かでもないラジオの情報に賭けるのか?軍に信頼出来る知り合いでもいるのか?
そう疑問に思った。
そしてオドオドしている沙恵に直樹は近付き、言った。
「ここにずっといても助かる見込みなんてない。一緒に付いてきて欲しい。なるべく俺から離れずに。」
沙恵はしばらく俯きながら考えたが、直樹の言葉を信じ、外に出る決意をした。
実際に自分のピンチを救ってくれた実力があったからである。
直樹は微笑み、後ろを振り返って部屋のドアを開けた。
「守ろう。今度こそ…」
直樹は部屋を出る際、小声で一言そう呟いた。
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