168人が本棚に入れています
本棚に追加
直樹は震える沙恵の手を取り、言った。
「ここは危険だ。もっと他に安全な場所へ行こう。」
沙恵は目に涙を滲ませ、安全な場所などあるかと直樹に叫びたかったが、グッと堪え、立ち上がった。
沙恵は大きく深呼吸し、涙を拭った。
直樹はこの先も武器が必要になると思い、弾の入ったマシンガンを持って行こうと、他の軍人の死体に近付き、装備を整えようとした。
その時だった。
軍人の死体が転がる中で1人だけ地面に伏せながらガタガタと震えている軍人の姿が目に入った。
直樹はそっと歩み寄り、生存していた1人の軍人に声を掛けた。
だが直樹が声を掛けても、男は何かをブツブツと呟くだけ。
「おい、大丈夫か?」
直樹は震える男に声を掛けた。
直樹の手が男に触れると、男は急に大声を上げながら銃を構えてきた。
が、弾は空になっていたようで発射はされなかった。
直樹は冷や汗をかいたが、取り合えず男の銃を奪い、自分が人間であること、キメラを全滅させた事を説明し、気を落ち着かせた。
最初のコメントを投稿しよう!