エピローグ

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その日はやけに受診患者が多く、院内は患者でごった返していた。 県内でも大手のS病院で看護師を勤める1人の女性が、すでに1時間以上も残業し、愚痴をこぼしかけていた。 『柏木さん』 ふと自分を呼ぶ声がし、女性は声のした方を振り返った。 婦長だ。 『このカルテを安齋先生の所まで運んでちょうだい。すぐによ。』 『…………はい。』 女性は断れず、婦長からカルテを受け取り、渋々頷いた。 本来ならば夕方頃には帰れたはずだったが、多忙な1日を終え、ようやく一段落し、女性が更衣室で私服に着替え終えた頃には、外はすっかり夜になっていた。 『柏木さんお疲れ様。今上がり?』 同期の看護師が自分に声をかける。 『ええ、本当なら夕方には帰れたのよ。有り得ない残業だわ。』 『あらら。今日は特に混んでたもんね。…疲れてるだろうけど、久しぶりにお茶して帰ろうよ。』 同期の女性にお茶に誘われ、体は疲れていたが、女同士で仕事の愚痴を言い合うのもたまには悪くないと感じた為、2人は病院のすぐ側にある喫茶店で話しをする事にした。
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