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更衣室に向かう途中、11号室のナースコールが鳴っている事に気付いた。
この居室は今日運ばれた救急患者が入っており、安齋先生の担当だ。
そう言えば日中にカルテを先生に持って行った時、女性は少しカルテの中身を見ていた。
この部屋の患者が運ばれた原因は、ただの喧嘩で腕を怪我しただけなのに何故か脳のレントゲン写真があった。
あの時は残業に嫌気がさしていて、あまり気にも止めずにいたが、今考えると不思議な事だ。
ナースコールの方は、夜勤者がすぐに対応に来るはずだと思い、彼女はコールを無視し、そのまま更衣室へと向かった。
女性は更衣室に到着し、自分のロッカーから車の鍵を見つけ出して、すぐさま部屋から立ち去り、元来た道を引き返そうとした。
ところが、そこで先程の11号室のナースコールがまだ鳴っている事に疑問を抱いた。
今日は散々疲れたし、すぐに帰りたい。しかし一応病院のナースとして見過ごす訳にもいかない。
女性は溜め息をつきながら11号室へと近付き、部屋の前のスイッチでコールを消し、中に入った。
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