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薄闇に拡がる
幾つもの深紅の瞳。
天族の体に
純白と漆黒の比翼を
一対の翼として纏い
現れた失踪者達。
正気を喪い
凶暴な気配を放つ姿に
フィリルは息を呑み
クロアも咄嗟に魔族から離れ
ロアの元に後退した。
一気に
追い詰められた状況になる中
「クロア、聖剣を寄越せ。」
フィリルの腕に支えられ
なんとか立っているロアは
一人だけ落ち着き払った様子で
クロアに命じ、
「はい…。」
クロアは目の前の状況から
警戒を解かずに
右手の指輪から
一振りの剣を出現させ、
ロアの手に握らせる。
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