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そんな中、
一瞬だけクロアと視線が
絡み合う。
途端にクロアの
険しさに満ちた眼差しが
和らぎ一瞬の間合いだけ
浮かぶ微笑み。
「ッ……!!」
ロアの理解できない感情を察し
安心させるようなそれに
激しく心がざわめいた。
己の決断に対する後悔はない。
立つことが出来ず戦えない
悔しさもない。
力を宿す物がなくては
自身の身すら守れない惨めさも
“神族”と云う
産まれながらの立場に縛られる
もどかしさも
何も感じていない。
それが何も出来ない
ただ“利用される存在”として
“苗木”として産まれ
生きてきた自身の姿なのだ。
ならば、
全てを受け入れ生き抜く道を
選択しているロア。
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