764人が本棚に入れています
本棚に追加
その筈なのに
今、理解できない感情と
訳の分からない衝動が
ロアの心の中を激しく揺さぶる。
「…………ッ…馬鹿者…。」
無意識に零れた呟きは
クロアとロア自身の
どちらに向けてなのか…。
亜種の数があと僅かになった中
零れたロアの呟きの直後、
「……………ろ…す。」
すぐ傍から聴こえた囁き。
同時にこれまでにない
殺気を感じてロアは
声の主である魔族を見た。
「…………。」
絶望から狂気に満ちた
禍々しい瞳。
「あんたは絶対に許さない…。」
怒りから怨嗟に変わった声。
「お門違いだ。」
「黙れッ!!」
利用した魔王ではなく
利用された現実を突き付けた
ロアに向けられる魔族の怒り。
最初のコメントを投稿しよう!