プロローグ

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 朝の星座占いの結果は悪くなかった。  金運と健康運は星五つ。恋愛運だけ二つだった。  特に気になる異性がいるわけでもない。はなから恋愛なんてどうでもいい僕は、この結果を真摯に受け止め、表面上は喜んで見せた。その表面を見てくれる友達もいないので、全く無駄な行為だったが。  無駄な行為を美徳と考える僕としては、それはさして苦にはならなかった。しかし、後で失策だったと悟った。慣れないことはしないもんだ、と独り呟いた。  星座占いを見る習慣など、これっぽっちもないのだ。むしろ、初めてだったかもしれない  しかし、しかしだ。  これは僕が気まぐれ屋なわけではない。  事件には何かしらの動機があるように、僕の行動にも理由がある。実を言うと、今日は誕生日なのだ。  一年に一回しかやって来ない誕生日。今年で十八回目になる誕生日。
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