プロローグ

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 同級生は受験というものに励んでいるらしいが、そんなものは関係ない。教師もテストだけできていれば、一切干渉してこないし。  生徒より、外面。活気より偏差値。  どんな問題のある生徒でも、学園の評価を上げてくれるなら黙認する。外面がよくなるのなら、殺人鬼でも無視する。  秀奉学園とはそういう場所だ。  まあ、これは僕の一方的な解釈であり、ホントの所そんなことは有り得ないのだろうが、ささやかなサボりが許されるのは事実だ。  だから、そうした日常への扉を開けた瞬間、僕は僕以外の異物がこの空間にいたことに、別段驚きを感じなかった。  そういうものだと、納得した。  それは少女だった。長い黒髪と、秀奉指定の白を貴重としたセーラー服が、嫌でも目に入る。  外面重視の秀奉は、制服には凝っている。とある有名デザイナーに作らしたという話は、うちの生徒なら誰でも知っている。
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