プロローグ

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 ちなみに、僕はこのセーラー服が大好きだ。秀奉に入って一番よかったことは、このセーラー服だと言っても過言ではない。見えそうで見えないスカートの長さとか、男心をよく理解していると思う。  このままじっくり鑑賞していてもよかったが、そのとき僕は少女の立っている位置に気付いた。気付いてしまった。  金網の外側にいたのだ。  つまりそれは、少女が金網を乗り越え、そちら側に行ったことを意味する。  あと一歩、踏み出せば――――  ほんの少し、風が吹けば――――  そうしたら、世界が終わる。そこで、現実と途切れてしまう。  僅かな事故でも、終わってしまう。少女の位置は、そういう所だ。  まずい、と思ったときには遅かった。不意に少女が振り返る。  目が、合ってしまった。
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