そういうこと

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 まずったな、と今更ながらに思ってしまった。パンツの話題は出会いとしてはよろしくない。たとえ今後一切繋がりのない相手であろうと、社交的だと自負している僕としては、それは明らかな失態だ。  黒のスケスケという衝撃的物体を前に、いささか動揺してしまったのだろうか。もしかしたら――いや、それ以外に原因はないか。  …………うむ、まずったな。  どうしようか全く具体案が思い浮かばない。この状況を打破できる革命的とも呼べる案が、普通なら主人公補正で付いてくるはずなのだが。  村人Cに位置する僕には、期待するだけ無駄だ。  とりあえず。 「ごゆっくりどうぞ」  扉を閉める。  重厚なそれは、大した苦労もなく僕の問題を解決した。  僕の世界には再び平和が訪れた。埃っぽい階段は、やはり落ち着く。  今日は撤退を決め込もう。逃げるのではない。勝つためには、引くことも重要だ。
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