決断

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チャッピーは、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそとキングキャッスルに入っていった。たちまち彼は警備員のおじさんに捕まった。調べられて、チャッピーのカバンからは、果物ナイフが出てきたので騒ぎが大きくなってしまった。チャッピーは、キングの前に連れてかれた。「この果物ナイフで何をするつもりであったか。言え!」暴君キングキムソンは、静かにけれどもいあつ感を出して問いつめた。そのキングの顔は、真っ赤で、シワは、刻み込まれたように深くはなかった。「巣鴨をお前の手から救ってやるんだよ。」とチャッピーは悪びれずに答えた。「え!?、お前が?」キングは、爆笑した。「バッカじゃねーの!!」 「言うな!!」とチャッピーは、おもいっきり反発した。「人の事を殴るのは最悪な事なんだよ!」 「殴るのが正当な心構えなのだと教えてくれたのは、私の親父だ。」暴君は、落ち着いてつぶやきホッとため息をついた。「俺だって平和を望んでるんだけどね~。」 「何のための平和なわけ?自分の地位をまもるためか?。」今度は、チャッピーが爆笑した。「罪のない人を殴って何が平和?」 「ちょっと黙ってお前。」キングは、さっと顔上げてむくいた。「口では、どんな清らかな事でも言えるんだよ。俺は、人を殴る事で快感を得ている。お前だって俺に殴られてから泣いてわびたって知らねえーよ。」 「あぁ、キングはりこうだ。勝手にうぬぼれてれば?俺は、ちゃんと殴られる覚悟は、出来てるのに。命ごいなんかするはずないじゃんただ・・・・」と言いかけて、チャッピーは足元に視線を落とし瞬時ためらい、「ただ、俺に情けをかけたいつもりなら、殴られるまでに、一週間の日限をくれないか。たった一人の弟に花嫁を持たしてやりたい。俺は、西高島平で結婚式を挙げさせ必ずここへ帰ってくる。」 「ええよ。その代わりお前の代わりとなるいけにえは置いていけよ。」 「分かった。この巣鴨に健ちゃんという俺の無二の友人がいる。あれをいけにえとしてここに置いていこう。俺が逃げてしまったらあの友人を殴り殺していい。頼むそうしてくれ。」 「願いを聞いた。その身代わりを呼んでこい。一週間後の日没には、帰ってこいよ。ー分でも遅れたらその身代わりを殴り殺すぞ。ちょっと遅れてくれば。そしたらお前の罪を一生許してやるよ。」 「何言ってんの!?。」 「ははははは。命が大事だったら遅れて来い。お前ごときの心は、分かっているから。」
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