喜び

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チャッピーはその夜、終電に間に合わなかったので、電車に乗れず、急ぎあしで歩いて帰った。西高島平に着いたのは、次の日の午前、日は既に高く昇って、西高島平のサラリーマン達は、既に仕事に行っていた。チャッピーの十八の弟も仕事はしていないけどもう起きていた。歩いて帰ってくる兄の姿を見て驚いた。 「兄貴~、どうしてこんなに遅いんだよ。」 「何でもない…」「何でもなくないだろ!」 「微妙に心配したんだぞ。」 「そんな事よりも明日結婚式をやるぞ。」そして弟オンガッタは、言いにくそうにボソッと言った。「俺達…別れたから。」チャッピーは、言った。「は!?お前この荷物どうすんだよ!!。」 「てめーが勝手に買ってきたんだろーがよ!!。」 「もういいよ。お前なんか知らねえ。」チャッピーは間もなく床に倒れ伏し、息もせぬくらいの深い眠りについた。目が覚めたのは夜だった。チャッピーは起きてすぐ着替えた。そして、オンガッタの元カノの家に行きオンガッタの元カノにこう言った。「頼む!!俺の弟と結婚してやってくれ!。」 そして、オンガッタの元カノは、言った。「その言葉を待っていました。」と言い、「いいですよ。」と言った。そして、チャッピーは急いで家へ帰って、オンガッタにその事を伝え、祝宴の席を整えた。結婚式は、次の日の朝っぱらから始まった。新郎、新婦の神々への宣誓が済んだ頃、黒雲が空を覆い、ザァーザァーと雨が降り出しやがて大粒の雨になった。祝宴に出席していた近所の人達は、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいいっぱい気を引き立て、6LDKの狭い部屋でぎゅうぎゅうかつむんむんした中で「さよなら」を熱唱した。チャッピーも満面の笑みを浮かべしばらくは、キングとのあの約束をさえ忘れていた。祝宴は、真昼に入っていよいよ乱れ華やかになり人々は、外の大雨を全く気にしかくなった。チャッピーは、一生このままここにいたいとは、思わなかった。この人達と一生一緒に暮らしたら、生活費が少なくなるし、食費も倍以上になってしまうので、しょうがい暮らしたいとは願いたくはなかった。今は、自分の体ではあるが自分の体じゃない。チャッピーは、我が身にむち打ち、ついに殴り殺される事を決意した。「まだ後五日もあるからもう少し生活費を稼ぐとするか。」そして、祝宴は、夜までかかってやっと終わった。歓喜によっているらしいオンガッタに近づき、「俺に感謝しとけよ。」
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