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「…きみ、別れよ」
「は…っ?」
俺、横山侯隆。
たった今、恋人のヒナちゃんにフられました。というか、フられている最中?
「ヒ、ヒナ…さすがにそれは冗談キッツいで!」
「冗談ちゃう。本気や。」
笑顔を取り繕い必死に紡ぎ出した言葉も虚しくバッサリと切り捨てられた。
思い当たる節がない。
何でいきなり…?
何も言えない自分に腹が立つ。引き止めたいのに、このままやとヒナは俺を残して行ってしまうとわかっているのに。
「仕事ではこれからも普通に接しろよ?…ほなな。」
「…ちょ!ヒ……ナ、行くなよ…」
引き止めようと掴んだヒナの腕は俺の掌中からスルリと抜けて、ドアが閉まる無機質な音と、部屋に響く虚しい独り言と共に俺は一人になった。
頬に一筋の温もりが伝った―…あれ、俺…泣いてる?
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