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――翌日
フられた翌日に仕事なんて気が滅入る。メンバー全員での仕事だったのがせめてもの救いだ。
ヒナには昨日、仕事では普通に接しろと言われた。彼奴のことやから、そう言うた当人はもちろんいつも通り接してくるだろう。
問題は俺自身にある―普通で居られる訳がない。
メンバーはそんな俺の態度にもちろん気付くだろう。
慰めてくれるだろうか。
慰められたら、何て答えればいい?
『大丈夫や。心配すんな。』
いや、こう言ったところで心配性なヤスや、人の気持ちに敏感なすばる、優しいマル…どっくんも大倉も、納得してくれないだろう。
…仕方ない、か。
―――――――――――――
楽屋のドアへと続く廊下。既に楽しそうな声も聞こえる。
『おい、もうやめぇやー!』
…ヒナの声だ。どうしてこんなときに、俺の耳は彼奴の声だけを聞き取ってしまうのだろう。
「はよ。」
「あ、よこちょおはよー。」
真っ先に声をかけてきたのはヤスだった。ヒナはというと、一瞬俺を見たかと思うとすぐにまたすばるとふざけだした。
「なぁなぁ、昨日俺大倉と飲み行ってんかー…」
ヤスの話がまるで耳に入らない。
目線の先には、ヒナ。
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