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それから数時間後、何とか仕事を終えた。
「よこちょ。」
「…んあ、ヤスか。何や?」
「今日飲み行かへん?」
「んー、ええよ。」
正直、気は乗らなかった。だが気分転換には良いかもしれない、と軽い気持ちで誘いを受けた。
―――――――――――――
ヤスと居酒屋で飲み始めて小一時間。さすがに今日は酔えない。いつもは酒が進むヤスも、俺の様子を察してかあまり飲んでいない。二人ともほぼ素面だ。
「なぁ、ヒナちゃんと何かあったやろ?」
「は?何がやねん。」
「ほらー。またそうやって知らんぷりするんやから。逃げるなんてズルいで?…やからフられるんや。」
…は?何で俺がフられたん知ってんねん!
「ヒナちゃんから相談受けてたから。」
「俺何も言うてへんねんけど。」
「随分大きな独り言やな。」
そう言ってヤスは笑った。
ヤスが言うには、1ヶ月程前からヒナに相談を受けていたらしい。何でも、その度に彼奴は泣いていたそうだ。
…あのヒナが、泣いていた。
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