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「よこちょ、フられた理由わかってへんやろ?」
フられた理由…?
確かに、全く見当が付かない。
俺は彼奴の恋人として、それなりに愛してきたつもりだ。それに彼奴こそ、俺と居るときはいつだって幸せそうに笑っていた。
「はぁ…アホよこちょ。」
「何やねんな。」
「そのええ加減な愛し方や、フられるのも当たり前や。もっとヒナちゃんの気持ち考えたらどうなん?」
「彼奴の気持ちて…」
俺が言いかけたその時、ヤスの携帯が鳴った。ヤスはディスプレイを見るなりたちまち表情を明るくした。
「もしもし、たっちょん?今ー?んー、行く!…え?ふふ、好きやで?ん、またな。」
「大倉か?」
そう、ヤスは大倉と付き合っている。二人はいつも幸せそうで、お互いに想い合っている理想の恋人像そのものだ。
「おん、呼ばれたから行くな?よこちょも、俺ら見習ってや?ほなね!」
ものすごいスピードで店をあとにしたヤス。
一人残された俺。
―…『俺ら見習ってや?』
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