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「で、何で来たん?」
床に座り込んだヒナが上目遣いで見つめてくる。
此奴、綺麗な顔してるんやな…
またわかった、改めて気付かされたこと。
「ヒナ…ごめん。」
ソファーから降りてヒナに向かい合って座ると、出来る限り誠意を伝えようと真面目な顔を向けた。
告白したときやって、こんなに真剣やなかった。あのときは、その場のノリもあったから。
「俺、わかってん。お前がどんだけ大切か。当たり前に思ってたけど、お前が居らなあかんねん。」
「…き、み……?」
「ヤスみたいに好きや好きや言うたり、人前でイチャコラするんはさすがに恥ずかしいけど…」
「けど…?」
「けど、お前が…信五がそうしたいなら、少しずつやけどそうする。信五が望むなら、毎日好きって言う。」
「きみ…っ」
別れてからまだ間もないはずなのに、とても久しぶりに感じたヒナの温もり。
鈍感な俺にやって分かる。
今、ヒナの目から零れて涙は、嬉しい涙。
堪えようと必死に唇を噛み締めるその表情がとても愛しくて、そっと唇を重ねた。
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