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「錦戸。」
「横山先輩、こんにちは。」
「おう。」
先輩は当たり前のようにカウンターの中へ入っていく。
本当はいけないこと。でも、僕の独断で許している。そもそも、誰も来ないからバレることなんてないのだけれど。
しかも、ダメだと言ったところで横山先輩はそれを無視して入ってくるだろう。
それにしても、横山先輩はほんまに僕が好きなんかな?
確かに、前に言うたように毎日会いに来てくれるけど…。噂では相当モテるらしい。(男にも女にも。)それやのに僕なんかに本気なのだろうか。
「今日もな、数学んときすばると屋上居ってん。帰ったらヒナがあのゴリラみたいな顔でいきなりどついてきてな。ほんで、…錦戸?」
「…え?あ、はい。」
「どないしたん?元気ないな。具合悪いんか?」
そう言った横山先輩が僕の頭に手を伸ばしてクシャッと髪を撫でたとき、顔が一気に熱くなるのを感じた。
(…そんなはず、ないのに。)
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