オレンジと赤

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いつもの帰り道を並んでゆっくりと歩く。家までは20分くらいだけど、話をしながらだととても短く感じる。学校に居るときにはなかなか話す暇のない大倉と俺が会話を出来る時間。朝、学校へ行くときと、帰るとき。 「なぁなぁ、亮ちゃん。」 「ん?」 「今週の日曜、空いてる?」 「日曜?別に、空いてるけど。」 「ほなさ、デートしよ?」 「はいはい、買い物な。」 「デートやってー!」 唇を尖らせて子供のように反抗してくる大倉に、なんだか笑えてくる。 こいつの性格は、出逢ったときから変わっていない。バカ正直で絶対に嘘を吐けない性分で、いつも呑気に食べ物のことを考えている。そのくせ勉強はそれなりに出来て、運動も出来る。それに、出逢った頃から成長するにつれてどんどん男前になっていった。中学生くらいまでほぼ同じだった身長だって、今では10センチ以上差を付けられてしまい、何だか寂しい気もする。 .
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