オレンジと赤

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そんなことを考えているうちにもう家の目の前まで来てしまった。 俺が物思いに耽っている間、大倉はずっと何か話していたらしい。聞いてた?なんて俺からの相槌を求めている。 苦笑いを浮かべながらしつこく問い質す大倉に体を向けると、夕日に照らされた横顔があった。 「…亮ちゃん?どないしたん?何か、さっきからボーっとしてるけど…何かあったん?…あ、具合悪い?」 何を聞かれても返答しない俺に、分かり易く心配そうに眉を八の字に下げながら、それでも整った顔が近付いてきた。 大倉にならキスされても… 一瞬だけ、そう思ったときには外気ですっかり冷たくなった大倉の大きな手が額に触れた。 …なんや、そっちか。 一瞬ても目を閉じかけた自分を恥じた。 「…んー、手が冷たいから熱あるかどうかも分からへんわ。」 笑いながら額から手を離したと思えば、今度はその手でクシャッと髪を撫でられた。 大きくて、優しくて、冷たいのに温かくて、安心する。そんな大倉の手。 「日曜、体調戻らんかったらキャンセルしてええから、な?そしたらまた別の日に遊ぼう?」 .
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