天元。

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その瞬間鉄の爆弾が勝爺を貫通した。もう、跡形もない。 悲しいというより何もわからない光景がみるみる内に広がる。 母が早く濠の中にと叫んだ。 濠の中に入り母と私は残された家族が心配になり濠を出ました。 私の家は燃え何もかもが無くなった。 だが、私は驚いた。 勝爺の碁盤と碁石はその焼けた家から傷一つなく立っているのだ。 あわてて私は碁盤の下に走った。 その碁盤の上にはただ天元に光る黒石が一つありました。 寅次郎は言った。 「勝爺・・!ありがとう・・。」 勝爺がよく打った手・・・それが天元、だれもが打たない手・・。 勝爺は寅次郎にこんなことを言っていた。 寅次郎が勝爺に天元を打つ理由を聞いた時。 「何で、そんな所うつん?」 勝爺が優しい笑顔で答えた「それはなぁ。誰もが打たへん手で勝ったら誰よりも強いやろ。ほんでやぁ、とある人がいうたんやぁ。 形にこだわらず己の信じた一手突き進めとな。 天元制するものは全てを制するとな。 まぁ、この年で新しいもんはつくれんがなぁ。 ガハハハ。 寅坊、いつでも突き進める自分が信じれるもんは作れよ~。」 寅次郎はこの時決めた。 「勝爺・・天元、極めるから。」
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