8人が本棚に入れています
本棚に追加
その瞬間鉄の爆弾が勝爺を貫通した。もう、跡形もない。
悲しいというより何もわからない光景がみるみる内に広がる。
母が早く濠の中にと叫んだ。
濠の中に入り母と私は残された家族が心配になり濠を出ました。
私の家は燃え何もかもが無くなった。
だが、私は驚いた。
勝爺の碁盤と碁石はその焼けた家から傷一つなく立っているのだ。
あわてて私は碁盤の下に走った。
その碁盤の上にはただ天元に光る黒石が一つありました。
寅次郎は言った。
「勝爺・・!ありがとう・・。」
勝爺がよく打った手・・・それが天元、だれもが打たない手・・。
勝爺は寅次郎にこんなことを言っていた。
寅次郎が勝爺に天元を打つ理由を聞いた時。
「何で、そんな所うつん?」
勝爺が優しい笑顔で答えた「それはなぁ。誰もが打たへん手で勝ったら誰よりも強いやろ。ほんでやぁ、とある人がいうたんやぁ。
形にこだわらず己の信じた一手突き進めとな。
天元制するものは全てを制するとな。
まぁ、この年で新しいもんはつくれんがなぁ。
ガハハハ。
寅坊、いつでも突き進める自分が信じれるもんは作れよ~。」
寅次郎はこの時決めた。
「勝爺・・天元、極めるから。」
最初のコメントを投稿しよう!