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その住職が薬と水と握り飯をくれた。
私と母にとって、白石のように輝く一粒一粒の米は愛しく思えるほど美しかった。
礼は尽くさなければならないと母に言われていたことを思い出し。
礼をした。
住職が笑顔で言ってくれた「なんの。私共ができることは、国の為に槍をもって敵を倒すことでわない。
只、目の前にある。
救える命を救うこと。
それが、私のようなちんけな坊主がする勤めでございます。
なので、礼などもらう立場ではございません。
どうぞここで、休んでいってくだされ。
あ~失礼した。
名を名乗らせて貰えます。光秀寺住職空秀でございます。失礼ですがあなた様方の名前を教えていただけますかな?」
そして、私は答えた。
「蝶桜寅次郎です!」
母も名乗った。
その時、何かが私の胸を通り過ぎたのように思った。
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