サンタのおじさん

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そのお店は たくさんのギターで 溢れかえっていて、 いわさわさんは 「ここ座って?」と言ってから 何処かに行ってしまった。 茶色のギター… 黒のギター… ギターばかりの部屋。 僕の前の 机には大事そうに 黒く光るギターが置いてあって 思わず目を見張った。 「綺麗…」 それは まるで生きているみたいに… 「お待たせ、ココアとか…好き?」 「あ…」 気がつくと 隣には さっきの いわさわさんがいて 暖かいココアが入った カップを僕に 差し出していた。 「あ、ありがとう。」 「いいえ、君 名前は?」 「悠仁…」 一口 ココアを啜ると とっても優しい味がして 不安な気持ちも 少しだけ楽になった。 「悠仁? あ、お母さんは?」 「…………」 「?」 「…はぐれ、ちゃった…」 「そっか…」 いわさわさんは 優しく そっかと微笑んだ、 「俺、ここでギター売ってんだ。」 「へぇ… そのギター…」 気になっていた 黒く光るギターを 見て言うと 「あ、それは 俺の愛用ギター。 こう見えても 歌とか得意です…」 「わぁっ、 何か歌って?」
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