雪の中に

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「別れよう」 そう厚ちゃんに告げられたのは もう1年前。 1年たった今でも あの日のことは忘れない 忘れるはずがない… 理由は 注目されなければ意味のない 仕事のせい。 お互いのためよくないからって 言ってた… 「わかってるよ… よくないってことぐらい…。」 ザクッ…ザクッ… 足下の 白い雪が歩くたびに音をたてて 崩れていく。 あれから 厚ちゃんを避けて 北へ北へと向かってたら いつの間にかこんな雪国にきちゃってて… 思わず苦笑する。 でも 馴れればここは 心地よくて… …だって 多すぎる雪が 厚ちゃんを一瞬だけ忘れさせてくれるから。 …でも やっぱり 厚ちゃんが愛しくて 恋しくて 逢いたくて… それを 忘れるためにしていた 散歩がいつの間にか日課になってしまった。
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