夏の夕暮れ

尋ねウマ

けたたましいサイレンのオト、空襲警報が鳴り響いた、牧場の職員をはじめ、多くの人が避難する中、農夫はキラの事が気になり馬舎へ駆け出した、付近に轟音が轟き、辺りの建物は吹き飛ばされ、倒れる人やモノまさに地獄絵図そのものであった、農夫は、本当に怖かったが、何より親友の身を案じていた、キラよ無事で居てくれよ、心の中でそう叫びながら、必死に走った、空を見上げ農夫は、青ざめた、なんと爆弾を落としたカンサイキが旋回してくる。
まるで獲物を見つけた鷹のように急降下し、こちらに迫ってくる、バリバリ、バリバリ、機銃を撃ちながら農夫にせまりくる、農夫は必死に伏せた、カンサイキは農夫の頭上を越え馬舎の方へ、そこにはキラが、やめろ～この赤トンボめ、農夫は怒りで我を忘れ叫んだ、カンサイキはまるで、農夫を見下すように馬舎へ機銃を放ち去っていった、農夫はボロボロになった馬舎へ恐る恐るちかずいた、あんなに堅牢な建物がまるで跡形もなく…瓦礫をどかしながら恐る恐るキラの姿を捜す、しかし、いくら捜してもキラはミツカラナかった、キラはいったい何処へ、やられてしまったのだろうか？それとも必死に逃げたのだろうか？
結局キラはみつからなかった。