荒れ狂う馬

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一頭の馬が、新入りの傷のある馬に近ずいた時、傷のある馬が近ずいて来た馬に噛みついたのだ、馬同志喧嘩する事は珍しい事ではなかったが、農夫はその馬の冷たい目を見て戦慄を覚えた、おまえいったい今までどんな目にあって来たんだ。 その様な目を、かつて農夫は見た事があった、農夫は少し前に南方戦線に兵士として送られた経験を持っていた。 農夫は当時、南方戦線にて作戦行動中、敵に遭遇し、戦闘になり、方目を失い、内地に帰還した経験があり、そのさい、重傷を負い動けなくなった戦友は次々に自決した。 馬の目はそんな戦友の絶望的な目と同じものであったのだ。
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