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清々しい蒼い空。
心地の良い風。
彼の艶やかな黒髪が揺れる。
そんな天気に似合わない無表情な顔が一つ。正樹 蓮。16。
ここ水鈴高校の屋上でべたーと寝そべっている彼は、無言で空を眺めていた。
その静かな時も束の間、勢いよく屋上のドアが開かれる。
「蓮!!
こんなとこにいたのかよ!」
「…るさい裕也」
ゴロンと寝返りをうつ蓮。
鮮やかな赤茶の髪を揺らし近付いてくる男―畠山 裕也。
左側の赤茶の前髪をピンで止めて、襟足の髪を肩まで伸ばし、制服を着崩している彼は正真正銘 不良である。
睨んだらハンパなく恐いが、根は優しく人情深く、その上、蓮のことが大好き。
しかもその想いを隠すことなく常にオープン。1日3回は告白するが、流されるか拒否られてしまう哀れな男、裕也。
「ごめん!でも早く来いよ……って、何だコレ…」
裕也が視線を蓮から外すと、その周りに数名の男が横たわっているのに気付いた。
見た限りでは、また不良。
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