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「ほら、しゃんとしなさい。今日から3年生なんだから」
朝食を取り、ボーッとしている少女の髪を整える先程の女性。
どうやら、彼女が保護者のようだ。
「ねぇねぇ」
ここで少女が口を開く。
「何?」
「昨日さ、お父さんの夢を見たの。あと、お母さんと、陽さんと、友矢さんと、わたしと」
少女は昨夜の夢の話を語り出した。
「へぇ、みんなで何をしてたの?」
「あのね、お父さんがわたしとゲームしてて、友矢さんがそばでそれを見てて、お母さんと陽さんはお料理作ってた。みんな楽しそうだったよ」
嬉々としてそれを話す少女の目は輝いていた。
「そう。正夢になれば良いわね」
「…うん」
しかし、その目の奥にはどこか寂しさが潜んでいた。
「さぁ、髪型整ったわよ。いつも通り、元気に行ってらっしゃい」
女性は髪留めのゴムを二つ、少女に渡す。
「うん!」
少女は後ろ髪を左右に分け、持ち上げてそれぞれゴムで結んだ。
すると、少女は短めの二つ括りの髪型になり、活発な印象になる。
「それじゃ、いってきまーすっ!」
そして、少女、神崎空(カンザキ ソラ)は元気良く家を出て行った。
「いってらっしゃい」
その女性、神崎陽(カンザキ ヨウ)は手を振って空を見送った。
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