紙とペンを愛していた男

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相手を確かめる間もなく玄関の戸を開けると、腰くらいまで伸びてる黒髪を後ろに一本に纏めているスーツ姿の女性が立っていた。 その人こそ、浩一が約束していた担当の『小野さん』だった。 「…早いですね」 小野さんは大概時間丁度に来訪してくる。 そんな小野さんが予定より20分も早く来訪してきたものだから、不思議そうに話しかける。 「予定より早くなっちゃってごめんなさいね。ちょっとバタバタしちゃって連絡も出来なかったのよ」 申し訳ないような表情を見せながら説明する。 「まぁ良いですけどね。それより原稿出来てますから今持ってきますね」 そう言うと、小野さんを玄関に残して先程仕上がった原稿が入っている茶封筒を取りに部屋の奥へ入っていった。      
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