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いつも、約束の時間丁度に来訪してきていた小野さん。
玄関先で原稿を受け取ると直ぐに印刷所に持っていっていたので、まじまじと『小田桐浩一』の家を見たことがなかった。
そんな、浩一が居なくなって誰も居なくなった玄関は、とても静かで広かった。
そして
人気小説家…と言われている割には下駄箱しかなく。
良く言えばシンプルな、悪く言えば何もない寂しい玄関だ。
…そんなことを考えていると、原稿を片手に浩一が戻ってきた。
「何、人の家の玄関をキョロキョロ見てるんです?」
小野さんが興味津々に玄関の辺りを見ていたことを浩一にはバレていた。
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