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少女には友達と呼べるような人物がいなかった。
唯一、話しをするとすれば小鳥達と話すくらいだ。それも普通の会話ではない。
鳥や魔物と会話が出来るのは稀な事だと、聞いていた。普通の人間が魔物とのパスがなければ、話すことが出来ない。念話というらしい。
この事を一度だけ、院長に話しをしたことがあったが、ありえないと言われた。
でも少女にとっては、話せる相手が出来たことは嬉しがっていた。
小鳥や魔物が、外の景色や花の香りや街の賑わい、色々なことを話してくれた。
それら全ての話しを聞いてより一層、外に出たいと思った。
[……外の事、また教えて。]
だから聞くのが唯一の楽しみだった。何もない、私には楽しみで仕方がなかった。
[良いよ、今日は何が聞きたい?]
[……外にはどんな物があるのか、知りたい。]
そしていつものように、小鳥に普通の話しを聞いて、自分を満たしていた。
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