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「………」
叩かれた頬を気にすることなく、相手を見据える。
少女は考えていた。
何でこの男の子達は、いじめをするんだろう。そんな事をしても何も楽しくないと思う。
……心が痛くなるだけなのに。
「なんだよ、言いたい事があるなら聞いてやってもいいぜ。」
リーダーっぽい男の子が、聞いてくる。少女は考えていた事を、そのまま口にした。
「………相手をいじめるのが楽しいの?」
「は?楽しいに決まってるだろ。いじめは楽しいものなんだよ。」
男の子が答えると、二人の男の子も頷く。
少女は思った。
人を傷つける事が楽しいことじゃないって、わからないんだと少女は思った。
貴族という地位に立っている子供、平民がひれ伏す世界。わからなくて当然、平民が貴族にたてつく事がないから。
悪いことがあっても誰も、止めない。言えない。だから正しい事と悪い事の区別がつかないんだと、わかった。
「………いじめは、悪いこと。やめた方がいい。」
「命令するな!この平民で名無しのくせに!」
「いつものようにいじめてあげるよ。」
「覚悟してね。」
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