黒髪の少女

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そして今日もまた、男の子達にいじめられる。いつものように車椅子から引きずり下ろされ、殴る蹴るといった暴力を振るわれる。 いじめにあう対象としては、少女が無抵抗っていうのもあるが、正直誰でもよかったんだと思われる。 いじめやすい人、いじめにくい人がいる。たまたまいじめやすかったのが、少女だったからだ。 いじめられていることを誰にも話さない。話したとしても、よりひどいいじめにあう可能性がある。 だから自分の殻に篭る。そういう人が狙われやすいのだ。 だが少年達にも不満があった。 それは少女が痛がりもせず、悲鳴もあげず。 それどころか苦痛で顔を歪める事や、涙さえ見せなかった。あるのはいつものように、無表情のままでいた。 体や顔に痣が出来、白い入院服が汚れボロボロになっていた。 「ちっ!つまんねー、もういいや。行こうぜ。」 リーダー核の少年がそういうと二人の男の子も攻撃をやめ、三人で廊下を走ってどこかに行ってしまった。 少女は床に俯せのまま、うごかなかった。いや、動けなかった。 「………」 いくら殴られ蹴られても、痛いものは痛い。動けないくらい、痛めつけられた。
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