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次の日から少女は無心のように、リハビリに没頭した。
リハビリ時間帯でもないのに夜の病室から抜け出し、リハビリ室で一人黙々と行っていた。
何度か止められ、その度に院長さんに助けてもらっていた。
そしてイジメにも会うことがなくなった。少女の近くにあの男が居ると思ったからだろう。
でも少女にとっては嬉しかった。痛い思いをすることも、相手にそういう行為をしなくなった事。
両者ともいい思いをしない。だから悪い思いなら、いい思いの方がいいとさへ思っていたからだ。
だからリハビリに没頭出来た。小鳥ともいつも聞くだけでなく、自分から今日何をしたかを話した。
それから毎日が楽しくなっていった。以前の少女なら考えられない事だった。
自分が変わることが少なからず、怯えがあった。
でも本当は違った。物・人・動物一つ一つが色鮮やかに見えた。
前は全てに色が失われたように見えていた。それもこれも少女を変えてくれたのが、あの人だから。
少女の中で会いたいと思うのが、一層強くなった。
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